· 

カード・システムとしてのWZ Board

『実践 自分で調べる技術』p.226~で「カードにする」話をしています。文献、フィールドワーク、測定などからのさまざまなデータを、細切れにしてカードにしていくことの必要を書きました。

 

本では、「カードにする」ことを、データを集めたあとの作業として書いていますが、あちこちから集めた断片的な情報をそのつどカードとして残しておく、ということも大事です。全てはカードという同じ平面に並べられ、そして、いつでも参照しておけるようにしておく、ということです。

 

この「カード」の効用については、ご存じの通り、故・梅棹忠夫氏が『知的生産の技術』(岩波新書)で1969年(!)に書いて以来、多くの人が認識するようになったものです。

 

かつては(一部の人は今でも)紙のカード(B6の大きさの「京大型カード」や、小さな「5×3カード(125ミリ×75ミリ)」)を使って人も多かったですし(私もその一人でした)、今でもその有効性は変わらないと思います。しかし、電子的なデータが増えた今では、PC上で「カード」の考え方を実践する方が現実的でしょう。

 

そういうものの有力な一つがEvernoteで、『実践 自分で調べる技術』でもそれを推奨していますが、実は私自身は、Evernoteは限られた用途にしか使っておらず、手持ちの多くの「カード」、つまりは情報の断片は、WZ Boardというソフトで管理しています。

 

WZ Boardは、単独のソフトではなく、WZエディタというエディタの機能の一つという位置づけになっています。

 

 

 

私は、テキストベースの情報を、何でもかんでも、このWZ Boardで「カード形式」で管理しています。備忘録、アイデア・メモ、草稿の一部、会議の記録、などなど、調査したデータというより、日常的なさまざまな情報をカードにしています。一つの「カード」は、タイトルと本文からなり、タイトルは階層化された形で画面の左側に並んで現れます。

 

カードの移動、並べ替え、階層の作り直しなども簡単です。検索も簡単で、貯めた情報から探したいものを探し出すのも一瞬です。紙のカードと違って、「1枚」あたりの分量はいくら多くても大丈夫なので、その点でも便利です。実は『実践 自分で調べる技術』を書くときも、このWZ Boardをフルに使いました。

 

私が、文章を書くのにWZエディタを使っているからWZ Boardを使っているということがあるのですが、WZエディタを使ったいない人にもWZ Boardをおすすめしたい気持ちです。ついでに言うと、WZエディタもおすすめです。

 

なお、WZエディタ(WZ Boardを含む)は有料ですが、WZ Boardと同様の機能をもった無料ソフトにCubenotesがあります。なお、WZエディタもCubenotesもWindowsソフトです。

 

(宮内泰介)