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古い日本語文献について全文検索ができて本文も見られる「国立国会図書館デジタルコレクション」

『実践 自分で調べる技術』では、文献の調べ方について、国会図書館サーチを中心に、いろいろな方法について書きました。とはいえ、汎用性があるものに絞ったために、一部の人にはとても大事なのに本では載せなかったものがいくつもあります。

 

たとえば、「国会図書館デジタルコレクション」がそれです。

 

国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/

 

国会図書館デジタルコレクションは、主に戦前の文献(書籍や資料)について、スキャンして全文検索できるようにしているものです。図書については、2020年9月現在で97万点が収蔵されており、そのうち、35万点がネットで中身が公開されています(詳しくは「国立国会図書館デジタルコレクションについて」:https://dl.ndl.go.jp/ja/intro.html)。

 

たとえば、ということで「鰮」で検索してみました。鰮?と思われる方も多いと思いますが、「鰮」はイワシの古い漢字で、現在は「鰯」が使われることが多いですが、戦前の資料などではほぼ「鰮」となります。

 

国会図書館デジタルコレクションで「鰮」で検索すると、2621件もの文献がヒットし、そのうち本文が読めるもの(「インターネット公開資料」)が1957件ありました。文献のタイトルではなく、その中身で検索していますので、一つの文献の中のわずか一箇所に「鰮」という言葉が使われているものもヒットします。ヒットしたうち、いちばん古い資料は1800年の『日本山海名物圖會. 五』というものでした。その他、明治期の資料として、『水産博覧会審査評語』(農商務省農務局, 1884)、『農商工概況. 農業部・水産部』(農商務省, 1887)など数多くの文献・資料が出てきます。大正、昭和の資料も多数あります。ブラウザ上で簡単に本文が見られますし、PDFでダウンロードすることもできます。写真は『水産博覧会審査評語』の中で「鰮」に触れられているページを開けたところです。

 

 

実は『実践 自分で調べる技術』で中心的にとりあげた「国会図書館サーチ」では、国会図書館デジタルコレクションも含めて検索できます。ただし、そこで検索できるのは、タイトルのみです。ですから、文献の中身(本文)も含めた検索をしたい場合は、国会図書館デジタルコレクションのサイトで検索する必要があります。

(宮内泰介)